社会的役割ともって生まれた役割
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人には2種類の役割があると思います。「社会的な役割」と「もって生まれた役割」。後天的役割と先天的役割と言い換えてもいいかもしれません。
一般的には、社会的な役割の方が想像しやすいかもしれません。会社組織でいえば役職や配属であり、サッカーや野球といった団体競技であればポジションであり、家庭においては親、妻、夫などの「役割」が社会的な役割です。それ以外にも教師、医師、議員…など、さまざまな役割が存在します。私たちは誰しもいくつかの役割を果たしています。
一方、もって生まれた役割とはなんでしょうか? なんとなく想像するのは「使命」とか「宿命」といった大それたものかもしれませんが、そんなに大風呂敷を広げずとも、努力したわけでもないのにできてしまうこと。意図したわけでもないのにそうなっていること。複数名で食事に行こうというとき、リーダーとして振る舞う人、いつの間にかお店の予約や会計をやる人、誰が頼んだわけでもないのに自然と役割分担するようなことがあると思います。これが先天的な役割。向き不向き、得手不得手として表れることもあるでしょう。
人見知りが激しい。誰とでも初見で仲良くなれる。
細かい作業がとにかく得意。細かい作業はとにかく避けたい。
粘土細工は昔から得意。プラモデルのように手順のある工作は大好き。
など、個人の資質としてみれば「才能」にも近いのですが、集団のなかで発揮されるとそれは「役割」となるわけです。

カッツ理論
アメリカの経営学者ロバート・L・カッツは1950年頃、組織のマネジメント層に必要な能力は、マネジメントレベルの階層によって変わるというということを一つの理論として提唱しました。それはカッツ理論と呼ばれ、現代においてもマネジメント層の能力育成のフレームワークとして活用されています。
『ビジネス×星(以下ビジ本)』の中で登場する「星を使ってマネジメント適正を知る(P62〜)」というワークはこのカッツ理論をベースにしたものです。ただし、ビジ本は"星"を使ったビジネス書。通常のカッツ理論との大きな違いがあります。
カッツ理論ではマネジメントに必要な能力を以下の3つに分類しています。
・テクニカルスキル(業務遂行上必要な技術や知識)
・ヒューマンスキル(人間関係を管理するための観察・分析能力、またコミュニケーション力)
・コンセプチュアルスキル(問題の本質を見極めたり、事象を構造化、概念化する)
例えば、現場担当者に求められるスキルはテクニカルスキルの比重が高くなります。人間関係以上に業務遂行が大切です。中間管理職になるとテクニカルスキル以上にヒューマンスキルが求められます。さらに経営層になってくるとコンセプチュアルスキルが必要になります。カッツ理論とは、役割が変われば、必要なスキルの比重も変わるということを説いているわけです。言い換えるならば、出世すると求められる能力も変わる。というわけです。誰とも会話をしないマネージャーは意味をなしませんし、会社の方針を示してくれない経営者では従業員が困ってしまいます。
カッツ理論を用いる際に忘れてはいけないのが、個人の資質を説いているのではないということです。カッツ理論が扱うのは「後天的役割(社会的役割)」です。後天的役割が変われば必要スキルも変わります。
それに対して、「先天的役割(もって生まれた役割)」を星によって、自己認識しようというのがビジ本での試みです。星からみるこの世界の面白いところは、先天的役割と後天的役割はイコールではないということ。「自分は裏方気質だ」と縁の下の力持ちに勤しんでいる人が、星で見ると実は「(表に)出る役だった」なんて話は珍しくありません。ビジ本ではそんな先天的役割を星読みの経験が乏しくとも、誰でも算出できるようにしました。こちらは年齢や社会的ポジションに影響されることはありません。
後天的役割から必要なスキルを客観視するカッツ理論と、もって生まれたセンスにも似た役割を客観視するyuji(ビジ本)理論。こんな違いとしてみていただけるといいかもしれません。
するとこんな疑問を抱く人もいるのではないでしょうか?
「yuji理論でみるとコンセプチュアルスキルの点数が低いってことは、自分は経営者には向いてないってこと?」
「エンジニアをやっているけど、ヒューマンスキルの点数が高い。向いてないってこと?」
答えはシンプルです。後天的役割は努力して身につけるものですが、先天的役割は工夫して活用するものとも言えます。ビジ本のなかで紹介されているものの一端をご紹介してこの記事を終わりにしたいと思います。
デザイナーはコンセプチュアル型 ? それともヒューマン型 ?
私の知人に、ヒューマンスキルに極端に偏った超ヒューマン型のグラフィックデザイナーがいます。デザイン職と聞くと、職人的なテクニカルスキルや、ゼロから生み出すコンセプチュアルスキルが必須だと思われがちですが、デザイナーの働き方も千差万別です。彼の仕事は、自己表現であるアートではなく、あくまで課題解決のためのデザインです。クライアントの要望や企業が抱えている課題などを丁寧に汲み取り、それに対するクリエイティブなソリューションを形にしていく。つまり、そこに人が介在しないと成り立たないワークスタイルを軸としています。そう捉えれば、彼が他者との対話や調整に長けた超ヒューマン型であることは、非常に理にかなっていると言えます。